一人一人の“困っている”を聞き、生活立て直しを一緒に考えるフードバンク 食べ物+「なぜ困っているか」を聞くのが特徴

 

 今回(2/7)のラジオはNPO法人フードバンクうつのみや事務局長の牧岡 健(まきおか けん)さんをゲストに迎えた。

 

 フードバンクとは企業や家庭から「安全に食べられるが、捨てられてしまう食品」の寄付を受け付け、食べ物に困っている人や団体に無償で届ける活動である。フードバンクを行うNPO法人フードバンクうつのみやでは、食べ物に困っている人が訪れると食べ物を渡すことに加えて、「なぜ困っているのか」を聞く相談支援体制があることが特徴的だ。

 

 

「どうすれば困窮から抜け出せるか」を一緒に考える場所

 

 ラジオの前にNPO法人フードバンクうつのみやの相談業務を見学させていただいた。相談者はさまざまな事情で食べ物に困り、食べ物をもらいに来ている。その様子を見て衝撃を受けた。今まで私は食べ物に困ったことはなく、また身近にそのような状態に陥った人を見たことがなかったからだ。目に見えていないだけで生活に困っている人は当たり前にいると実感した。相談者には高齢者や失業中の求職者、一人親家庭が多いと想像していたが、若者や普通の家族もいる。コロナ禍で相談者も増えたそうだ。今食べ物に困っていなくても、「将来、自分にも…」と思った。

 「困窮状態から、どうすれば抜け出せるかを一緒に考えている」と牧岡さんは言う。「困っている」と手を伸ばせば受け入れてくれる場所が身近にあることに、少し私も安心した。

 

 

食品一つから支援ができる「みんなで助け合う運動」

 

 現在フードバンクでは相談件数が増加しており、食品が不足している。賞味期限が1か月以上あり、常温保存可能な食品であれば、1つから寄付が可能とのことだ。寄付の方法としては、ここに来る以外にも、とちぎコープやヒカリ座に設置されている「きずなBOX」に食品を入れたり、食品を持ち寄るイベント「フードドライブ」に参加して食品を持ち込んだりと、さまざまな方法がある。

 また、食品寄付の他にもボランティアでの参加や活動資金の寄付で、フードバンクの支援ができる。牧岡さんは「フードバンクは無償で食品をもらい、無償で食品を渡しているので、活動にお金が生まれない。だから皆さんの力を分けてもらえたら嬉しい」と話す。

 

 「助けを求める人を支える活動」とは、個人のボランティアではなく「組織としてのボランティア」であり、「社会のみんなで支える」ということなのだと思った。

(森田)