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両生類・爬虫類を網羅する保全地
6月16日の「みんな崖っぷちラジオ」のゲスト赤堀雅人さん。合同会社モリ田守(もりたもり)の代表で、宇都宮大学の非常勤講師もしている。県南の葛生で「自然共生サイト」に認定されているモリ田守センターの運営と活動についてお話を伺った。
赤堀さんは、宇都宮大学の大学院で森林学を学び、地質調査コンサルタント会社、高校教師、NPOわたらせ未来基金事務局長などを経て、2012年から宇大で「里山サスティナビリティー」についての講義をしている。葛生では赤堀家代々の農地、里山を保全しつつ、農業収入以外の環境価値を“売る”ために、2014年に家産制農家を会社化した。
赤堀さんは「今ある生物多様性を保全する。そして、今はないがこれから生物が共生していくことに必要な守るべき場所、増やしていく場所の整備を行いたい」という。そんな、モリ田守センターの生物種の特徴は「両性・爬虫類が種数を含めて栃木県南部の全体を網羅しており、また個体数がとても多い。一方で外来種のウシガエル、アメリカザリガニはいない」…という非常に優れた保全地だという。
「陸と海の30%保全」が目標。生き物の住む場所が足りない日本
では、自然共生サイトとは何か? 2020年のカナダ・モントリオールのCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)で「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」の目標が発足した。「2030年までに各国は陸と海の30%以上を、生物多様性の保全地にしよう」という目標だ。日本は国立公園など国が定めた環境保全の場所があるが、それらが20%程度。あと10%程度足りない。そこを埋めていくために民有地を保全地(自然共生サイト)に指定する取り組みが始まった。過去5年間で1~2%程度、自然共生サイトが増えたが、残り8%。まだまだ足りていない。
企業と環境NPOがビジネスで連携、が世界の主流
欧米の企業は、民間の環境団体と連携することで「環境保全に熱心な企業」として商品やサービスを売り込むブランド戦略が主流になっている。しかし、日本では取り組みが遅れているのが現状だ。環境省の見立てでは「自然共生サイト」がその突破口になると踏んでいる。
モリ田守センターは農業を中心に森林の観察など農林教育事業を行っている。これは、東京のスポンサー企業に向けての自然環境活動で、大手民間企業ではCSR部門があり、社員や顧客に生物・自然環境について考えるきっかけを提供している。もり田守センターでは、企業の社員研修や福利厚生プログラムの提供料をもらい、それを経営資金に充てている。自然共生サイトは、2025年の春から国交省と農水省が参加して立法化され、農業・環境・まちづくりの基幹となり、民間同士の活動の活性化の体制が整うことになるという。
イノシシとの戦いです(笑)。学生ボランティア大募集!
センターでの保全地の苦労や楽しみ、工夫についても教えてくれた。
「田んぼの沢が地震で崩れて土が川に漏れるので、その田んぼは使わずに冬でも水を入れるような池にした。結果、ヘイケホタルの幼虫の繁殖地になり、野鳥の生息地にもなった」という。
赤堀さんは、水路の保全では生物にとって良い環境にするために土水路(どすいろ)を用いている。土の水路にしてコンクリートのU字溝を使わないことで、水路の中や川で生物がすみやすい環境を作っている。一方でシカやイノシシの獣害の問題もある。毎年イノシシは土水路の植物の根っこを食べたりして穴を掘るため土水路を埋めてしまう。イノシシによって荒らされた土水路は人力で直すことが必要になる」と生物を守るための苦労も話してくれた。
最後に、一緒に保全活動をしてくれるボランティアを募集中! 「イノシシによる獣害被害を復興させるために作業してくれる手が欲しい」。モリ田守センターの生態系を守る環境保全の取り組みに参加しませんかと強い誘いがあった。学生のみなさんよろしく!
■ ■ ■
生物多様性の保全にはお金と労力がかかる。国の認定登録で「自然共生サイト」は公式に価値があるものとなり、活動に企業が参加するための一つの目安になると思った。また、モリ田守センターは、複数の会社がスポンサーに付くことで、大手企業のCSRの提携料を発生させ、継続的に行えるシステムが形成されつつあると思った。
現地では、イノシシに地面が掘り返されているところがいくつもあった。だが保全にための機械化ができず、手作業で整備しなければならない。農地・里山は放置すると荒れ果てて外来種の好き放題な環境になるが、昔の人の方法を授かり模倣することが希少生物の保全に大切であると感じた。
「自然共生サイト認定下」赤堀雅人(合同会社モリ田守センター)/環境系」×「みんながけっぷちラジオ」16/06/2026 - YouTube
https://youtube.com/watch?v=VZd2n8U9IfA&si=RHewX3yxYAzExoEK
~サシバとは鷹のこと~
自然を守るという言葉を聞くと、少し難しく感じるかもしれません。
栃木県市貝町にある「サシバの里自然学校」を訪れると、その意味がとても身近に感じられました。
サシバの里自然学校を運営する遠藤隼さんは、子どもたちから親しみを込めてじゅんじゅんと呼ばれています。
自然学校では、里山の保全活動を続けながら、子どもや親子を対象に自然体験や農業体験、生きもの探しなどを行っています。
サシバが暮らせる里山とは
市貝町は、山と田んぼが交互に広がる、谷津田(やつだ)の風景が今も残っています。この景色こそ、サシバにとって理想的な環境だそうです。サシバは田んぼでカエルやトカゲを捕まえ、近くの森に巣をつくって子育てをします。ですので、山だけでも、田んぼだけでも暮らすことはできません。山と田んぼが近い距離で共存している事でサシバが命をつないでいます。
生きものが暮らせる田んぼ
自然学校で管理する田んぼには、在来種のメダカやドジョウ、フナ、アカガエルなど、たくさんの生きものが暮らしています。昔ながらのゆっくり流れる水路だからこそ、小さな魚やオタマジャクシが安心して育つことができます。一方で、効率化された田んぼでは水の流れが速く、生きものたちが暮らしにくい環境になっています。
小さな命が暮らせる田んぼがあるからこそ、その命を支えるサシバも生きていける。
人が手を入れることで守られる自然
自然は放っておけば豊かになる。そう思ってしまいがちですが、里山は違います。遠藤さんが活動を始めた10年前は、この森は笹に覆われ、生きものも少ない状態でしたが、草を刈り、木を整備し、少しずつ光が入るようになったことで、草花や昆虫、生きものたちが戻ってきたそうです。人と自然が関わり続けることで、豊かな里山は守られています。
次の世代へつなぐために
自然の中で遊ぶ体験を途切れさせたくないということです。今は自然の中で遊ぶ機会が少ない子どもたちも増えています。もし親世代も自然を知らずに育ってしまえば、その次の世代へ自然の魅力を伝えることができなくなってしまいます。
だからこそ、子どもたちに実際に自然へ触れてもらい、「楽しかった」という体験を積み重ねてほしい。その積み重ねが、未来の自然を守る力になる。
また、自然を守ることは、サシバだけのためではありません。私たち人間もまた、自然から多くの恵みを受けて暮らしています。豊かな里山を未来へ残していくことは、未来の子どもたちへ豊かな自然とかけがえのない思い出を残すことでもあるのです。
https://youtu.be/HjxdIdVtYq0?si=OwwUgggETNZr3tUd
遠藤さんの想いや里山の美しい風景、生きものたちの姿を感じていただけたら嬉しいです。
YouTubeもぜひご覧ください!
編集後記
サシバを守ることは、メダカやカエルを守ることでもあり、その生きものたちが暮らせる里山を守ることにつながいる。人間も自然に生かされているんだ…と思いながら生きていくことも大事だなと感じました。一つひとつ命がつながりその先に私たちの暮らしもある。
ありがとうございました。(ボランティアのしょうちゃん)
