
2月18日の環境ラジオでは、那須町でハンター(猟師)の仕事をしている木村ゆうじさんから話を伺った。那須町ではクマ、シカ、イノシシをはじめ、ありとあらゆる鳥獣害被害が発生している。木村さんは役場の農林振興課で鳥獣被害対策を担当し、そのかたわらでハンターの仕事もしている。また、地域おこし協力隊としても活動しており、「あしのおと」というグループで、曲輪(くるわ)という空き家利用や観光促進、鳥獣害対策などの活動を行っている。
減る戦士、増える鳥獣被害
那須町に移住するまで、東京で食品関係のお仕事をしていた木村さん。「ハンター」に目覚めさせたのは、そこで感じた「食品ロス」であった。仕事をする中で、簡単に廃棄される食べ物を目にし、食品ロス削減の取り組みをしたものの「ピンとこなかった」という。そこで、木村さんが元から興味があったジビエに目を付け、ジビエを通して食品ロスをなくせたらという決意でハンターを目指した。ただ、ハンターになるには試験を突破しなければならず、時間もかかる。また、鳥獣被害は増えているものの狩猟というイメージがよくなかったり、年配の方が多く、若いハンターが不足している。町を守るためにはハンター不足はひとつの問題でもある。木村さんは自らの活動を通して啓発していきたいと話す。
温暖化で動物増加。 獣害駆除は「自然の代行」。
「獣害を駆除」は批判されたり良くないイメージを持たれたりすることがある。しかし、鳥獣害の駆除はエゴではなく、人が間引きしているだけなのである。地球温暖化の影響で鳥獣は冬を越しやすくなり私たちの社会にも悪影響を及ぼすようになった。それを木村さんのようなハンターが「自然の一部を補う」形で駆除をしている。私たちが安全に生活しているのはハンターのおかげであり、鳥獣害の被害が増えているのも私たちの社会が生み出した地球温暖化に原因があることを理解したい。
「ジビエになるまで」から知る、食の大切さ
「あしのおと」でも地域おこしの活動をしている木村さん。最近では竹林整備を行っているが、この活動はめぐりめぐって獣害予防にもつながっている。木村さんは今後、自身が狩猟に成功したら、ジビエの解体体験や食のイベントをやりたいという。活動を通して、食べ物を食べるまでの過程での苦労を知り、木村さんが芯に持つ「ジビエを通した食品ロス削減」という目標を達成したいという。食品ロスは身近な問題でもあり、ひとりひとりの取り組みの積み重ねで解決できる問題であるので、今一度自分の生活を見直してみるべきである。「つなぐ」というサイトや各種SNSにてイベントなどの情報発信をしているので、ぜひ見てほしい。(ラジオ学生菊池)