
11月26日のみんながけっぷちラジオでは、発災当時、双葉町社会福祉協議会職員だった北村雅(きたむらただし)さんと、ラジオ学生でスタディツアーにも参加した千葉奈央(ちばなお)さんをゲストに迎えた。二人は震災当時それぞれ双葉町、浪江町に住んでおり被災後栃木県に移動した。今回のラジオでは『東日本大震災スタディーツアー@双葉・浪江in2024』の想いを語ってもらった。
「自分の過去と向き合ういい機会になった」
「東日本大震災スタディーツアー@双葉・浪江in2024」は、3.11の震災・原発避難関係団体である「ともしびプロジェクト」や「栃木避難者母の会」、そしてUP(宇大生プロジェクト)によって、11月9日に開催された。ツアーには、このラジオの出演者でもある北村さんや半谷さん、田中さん、横山さんなど被災者がゲストとして同乗した被災地訪問だった。参加者は、ゲストの講話や震災遺構などの見学、被災した自宅への訪問を行った。
千葉さんはスタディーツアー参加が始めてで、「自分の過去と向き合ういい機会になった」という。千葉さんが特に印象に残ったのは、田中さんが「13年たった今でも、心の整理がつかないため実家に戻れない」と言ったこと。復興が進み、きれいな現地と「被災者の心のギャップの大きさ」に衝撃を受けた。そして「13年はちっぽけなもの、時間が解決する問題ではない」と強く思ったと話す。
私(蓮井)も取材でスタディーツアーの振り返り会に参加したが、その時に見た、半谷さんの自宅紹介のスライド。「自宅のピアノで止まった時計」や「予定が書き込まれた2011年3月のカレンダー」、「出しっぱなしの調理器具」など、時間が止まってしまった自宅と、解体された自宅周囲の風景に衝撃を受けた。
「災害は自分事」にしてほしいのが被災者の思いかも
ラジオの中で、北村さんや千葉さんが風化について言及した。震災から13年経過した今、風化は日常だけでなく、イベントへの参加にも影響している。「興味がないとイベントに参加しない、そうすると知る機会も減ってしまう」と北村さん。また、千葉さんが震災関連のイベントに参加したことを友人に話すと「意識高いね」や、被災経験を「大変だったね」などと言われることが多い。だだの尊敬や共感ではなくて「自分が経験した災害は誰にでも起こりえること、震災について意識してほしい」と思っているという。
日本に住んでいる以上、地震やそれに伴う二次災害は他人事ではない。だが、どこかで「自分は大丈夫」と思っているだろう。経験した人たちの声に耳を傾ける、企画に参加することで「自分事かもしれない」と意識することができると思った。(蓮井 菜乃花)
Youtubeで聞ける→ https://youtu.be/cH7FZK1oTYU?si=8RkX2yBXY4cZxM0c