福祉を支える人に聞く!人に寄り添うリハビリのかたち ~鈴木啓太さんが語る作業療法士の魅力~

 今回は、作業療法士として15年以上の経験を持ち、現在は「だいなリハビリクリニック」で勤務されている鈴木啓太さんにインタビューしました。

 作業療法士としての仕事や、そのやりがい、難しさ、さらには地域との関わりについてお話を伺い、温かい人柄と職業に対する情熱を感じることができました。

作業療法士とは?

リハビリ専門職には大きく分けて3つの職種があります。

  • 理学療法士(PT):運動機能を回復させるプロ。
  • 作業療法士(OT):日常生活の動作や生活全般を支援。
  • 言語聴覚士(ST):言語や飲み込みの機能をサポート。

 

鈴木さんは、この中でも「作業療法士」として活躍されています。

「作業療法士ってご存じですか?」という質問に続き、その仕事の奥深さを教えていただきました。

作業療法士を目指したきっかけ

 大学受験の際、医療の道を志していたのですが、調べる中で見つけた「手芸や木工を使ってリハビリを行う」という説明が、当時はとても不思議に感じたそうです。「手芸や木工を使って体を直すってどういうことだ?」と興味を抱いたのがきっかけで、作業療法士の道を選ばれました。

 その後15年にわたり利用者様一人ひとりの生活に寄り添う仕事を続けていらっしゃいます。

だいなリハビリクリニックでの取り組み

 「だいなリハビリクリニック」は、リハビリに特化した医療施設です。

入院・外来のリハビリに加え、訪問リハビリや通所リハビリも行っています。

 また、介護事業も展開しており、有料老人ホームやデイサービスなど幅広い施設を持っています。ここでは、約200名のスタッフが働き、そのうち50名がリハビリ専門職と、非常に専門性の高い環境が整っています。

 特に印象的だったのは、地域に根ざした活動です。認知症予防のための講座やフレイル予防のサポート、さらには他施設の介護スタッフへの技術指導も行い、地域全体で高齢者を支える仕組みづくりに貢献しているそうです。


作業療法士のやりがいと難しさ

 作業療法士の主な役割は、利用者様が「生活の中で必要な動作」を取り戻す手助けをすることです。たとえば、トイレ動作を例にとっても、立ち上がり、服を脱ぎ、便座に座るという一連の動作の中で、どこに困難があるのかを分析し、それを解決していきます。

 リハビリでは、利用者様の生活環境を再現し、模擬的な練習を繰り返し行うことが重要ですが、実際の住環境と完全に一致するわけではないため、試行錯誤が必要だといいます。

 その中でもやりがいを感じる瞬間は、「できた!」という自信を持つ瞬間だそうです。

初めは「できないかもしれない」と不安がる利用者様が、自信を取り戻し、家族とともに生活を続けられるようになるとき、大きな喜びを感じるとのことでした。


利用者様とフラットな関係を築く

 鈴木さんがとても大事にしているのが、利用者様との関係性です。

一般的に「先生」と呼ばれることが多いリハビリ専門職ですが、鈴木さんは「先生」と呼ばれることを断っています。

「先生」と呼ばれることで生じる上下関係をできるだけ排除し、「鈴木さん」「啓太さん」と呼んでもらうことで利用者様と近い存在でありたいと考えています。


作業療法士としての信念

 「退院後の利用者様を支えるのは家族です。そのため、利用者様だけでなく、家族や住環境、そしてその方がどんな生活をしてきたのかも含めて支援する必要があります」と語る鈴木さん。利用者様の生活全体を見据えた支援が、作業療法士の真骨頂です。

作業療法士を目指す方へのメッセージ

 作業療法士という仕事について「本当に幅広く、奥が深い仕事」、高齢者から子どもまで、利用者様の年齢や症状に応じた対応が求められますが、共通しているのは「その人らしい生活を取り戻す」ことを目指している点です。

作業療法士は、利用者様の生活全体を支える仕事です。ですから、ただリハビリの動作を教えるだけでなく、その方がどんな生活をしてきたのか、これからどんな生活を送りたいのかを理解することが大切です。その分、難しいと感じることもありますが、利用者様ができることを増やし、自信を取り戻していく姿を見ると、大きなやりがいを感じます。

 また、作業療法士を目指す方に向けて、

作業療法士は、人と深く関わる仕事です。利用者様の生活や背景を知り、その人にとって一番良いサポートを考える必要があります。大変なこともありますが、利用者様やご家族の感謝の言葉や笑顔が、何よりの原動力になります。優しさや思いやりを持って人と接することが好きな方には、ぴったりの仕事だと思います。ぜひこの世界に飛び込んできてください!

編集後記

 鈴木さんとのインタビューを通じて、作業療法士という仕事の奥深さ、そしてその社会的な意義を改めて感じました。

 また、「先生」としてではなく、利用者様と近い存在として向き合う姿勢も非常に印象的でした。

どんな職業にも難しさや苦労はありますが、その中で利用者様の笑顔や家族の感謝の言葉が原動力になっているのだと感じました。

 だいなリハビリクリニックの取り組みを知り、地域全体で人々を支える仕組みがもっと広がっていけば良いなと強く思います。

この記事を読んで作業療法士という仕事に興味を持った方がいれば、

ぜひ一歩踏み出してみてください!(ボランティアのしょうちゃん)

詳しいインタビューの様子はぜひYouTubeチャンネルでもご覧ください!
作業療法士の現場でのリアルな声。興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。