不登校11年連続増加。子どもも親も「がけっぷち」。

県内中学生「4人に1人が通えていない」。全国ワースト1

  123日のみんながけっぷちラジオではNPO法人キーデザインから土橋優平さんをゲストに迎え、不登校の問題についてお話を伺った。

202410月、文部科学省は「日本の小・中学校における不登校児童生徒数は約35万人に上る」とのデータを発表した。これは11年連続で過去最多を更新している。栃木県内は中学生の10%、つまり10人に1人が長期欠席者。さらに土橋さんが「不登校予備軍」と呼ぶ、別室登校や給食・放課後のみ学校に来る中学生を合わせると、県内の中学生の4人に1人が日常的に学校に通うことができていないという。これは全国でワースト1。土橋さんはこの状況への危機感を訴えた。「不登校は子どもが『逃げたい』と発するSOSのサイン」。しかしその背景には大人のSOSの声も隠れている。今回は不登校と家庭の現実に迫った。

 

将来への不安、お金の心配。親も疲弊

子どもが不登校になることで、親にとって何が問題になるのか。土橋さんは2つ挙げる。1つ目は心理的負担である。子どもが学校に通えなくなると部屋に引きこもってご飯も食べなくなったり、場合によっては自傷行為や暴力など危険な行動をとるようになったりする。それを目にした親が抱く子どもの将来への不安は大きな心理的負担になるという。

2つ目は経済的負担である。不登校の子どもが増加するに伴い「不登校離職」も深刻化しており、不登校の子どもをもつ親の4人に1人が休職、または退職せざるを得なくなっているという。家庭の収入が減る一方、フリースクールや子どもの居場所は利用料がかかる。不登校が家庭の経済状況を圧迫する現実もある。

 親は子どもが社会とつながる最後の砦(とりで)。しかし親もさまざまな要因で疲弊している。

 

大事なのは、「子どもの笑顔が戻ること」

 キーデザインでは、子どもと親の両方を支援している。フリースクールは開校日に自由に訪れて好きなことをして楽しめる居場所的役割だ。また、外に出ることや大人との会話も難しい子どもの家庭を訪問するのがホームスクールである。

さらに親には、LINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」を開設。全国約4,500人が登録し、常時約50人が、スタッフとLINEでやり取りをしている。栃木県内の相談者にはキーデザインも含めた各地のフリースクールや子どもの居場所、県外の相談者にはその地域の居場所や行政につなぐこともあるという。

子どもや親にとって一番大事なのは、「子どもに笑顔が戻ること」。土橋さんはそのために、子ども親、どちらの支援も大切にしていると話す。

 

「何かできることはある?」と声かけて!

 不登校の背景には、本人の問題ではない様々な課題が隠れている。子どもも親もがけっぷちなのだ。その上で土橋さんは「当事者を孤立させないことが大事」だと話す。不登校の子どもやその家庭が身近にあるとしたら、無理に子どもを学校に行かせようとするのではなく、「何かできることはある?」と声をかけてほしい。もしかすると親にとって自分の不安やストレスを誰かに話すだけでも心理的負担を軽くすることができるかもしれない。またそれと同時にキーデザインのような支援団体につないでほしいという。不登校の子どもと家庭を支えるネットワークの重要性も訴えた。(ラジオ学生 ながたき)

 

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