11月12日のラジオは、「フードバンクうつのみや」のインターン生の石原宇法(たかのり)さん、ラジオ学生の野田&私=山本の3人で、難民をテーマに話をした。
まず、野田さん調べの報告。日本の難民受け入れ状況は、2023年の難民認定の申請者数13,823人のうち、認定数303人と1%にも満たない。100万人単位で難民を受け入れるトルコやイランのような国と比べると、日本が「難民鎖国」と呼ばれている理由がよくわかると野田さん。
今回、難民問題として注目したのは仮放免(かりほうめん)期間や難民申請中の生活の大変さ。石原さんは、フードバンクインターンの活動の一環で外国人無料医療相談会に参加した。相談会で見聞きしたことを共有してもらった。
「どうやって生きるの?」 厳しい仮放免生活
北関東医療相談会・アミーゴスは、収入がなく十分な医療を受けられない仮放免の人に外国人無料医療相談会を開催しており、石原さんは通訳ボランティアとして参加した。
石原さんが担当したのは60代のナイジェリア人で、1990年代の初頭に来日した。それから30年たった現在も難民申請は認められず、相談会の1週間前に難民申請が却下されて、まだ仮放免の生活を続けているという。一連の医療診断を受けたのち、出口付近に設けられた「生活相談コーナー」で生活困窮の現状について話した。石原さんは、家賃も払えず毎日の食事が確保されない状況で”普通”の生活ができず、「どうやって生きるの?」という疑問が大きいと話した。
犯罪者じゃないのに「雑居で鉄格子の部屋」。帰国できず、自由もない収容所
石原さんは「入管施設」の問題点を指摘してくれた。日本では在留資格がなく、難民申請を却下された外国人には収容令書や退去強制令書が渡され、罪を犯していないのに不法滞在、不法入国者として地方出入国在留管理局の収容施設に収容される。
日本は「全件収容主義」で、原則として在留資格を持たない場合は収容できる。法律上は無期限の収容が可能だが、この仕組みは、帰国させる本来の目的から大きくそれてしまう。収容施設では5,6人雑居で鉄格子の部屋で生活する。1日3食は提供され、各々の宗教の戒律や食文化が考慮され、面会、国際電話、定められた時間内での入浴、洗濯、軽運動が「できる限りの自由」として認められている。しかし実際は「自由でない」のが現状だ。施設内では治療所が設けられているが、外部の病院での診察が必要な場合は手錠や腰縄がつけられる。このように収容施設を経験してもなお母国での迫害を恐れて帰国ができない難民が多い。
移動禁止、労働禁止、国保加入禁止、生活保護なし。制限ばかりの仮放免
収容所が一杯になったらどうするのか?「そのために仮放免制度がある」と私・山本が報告。仮放免とは、「健康上、人道上等の理由により収容を一時的に解除すること」だ。しかしその暮らしは過酷だ。1、2か月ごとに定期的な出頭が要求され、問題があれば再収容もある。働くことや県をまたぐ移動、国民健康保険の加入、生活保護の受給はすべて禁止されている。子供やその保護者(親)は「仮放免」として収容所から出るため、子供の義務教育は認められている。しかし、働けないので、収入がなく家も借りることができない。
多くの先進諸国が「第三国定住」(注)と呼ばれる制度を使って、さらに多くの難民を受け入れる中、日本はいまだに難民鎖国としての立場を保っている。難民として認められないことには、第三国定住の対象にならない。法や人道に限らず多角的な視点から、日本のキャパシティを考慮しつつ現状をどのように改善できるのか。私自身も、未だ受け身の姿勢で考えてしまっていることが悔しい。制度からも実際の声からも学び続けたい。(山本)
※第三国定住:難民として一時的に入国した国から、他の難民受け入れ国に移ること。
youtube→ https://m.youtube.com/watch?v=BKIMboKSeA8