10月1日のみんながけっぷちラジオでは、社会福祉士であり、精神保健福祉士である松本佑司さんをゲストに迎えた。松本さんは大学を卒業後、福祉施設や精神科の医療機関に勤務し2022年からは「ソーシャルワークそえしあ」に勤めている。松本さんは2つの資格を活かし、様々な人の成年後見人として老後をサポートしている。
認知症、精神・知的障害…の人の法律行為を代行
聞き覚えのない成年後見制度。「一言でいうと本人の代わりに契約したり財産を使ったりする人」と松本さん。細かくは「任意後見」と「法定後見」に分けられ、制度を利用する本人の判断力の有無で後見(人)、保佐(人)、補助の三つがある。
例えば、認知症の人は「判断ができない」または「記憶があいまい」なため、モノを買うこともままならない。また、躁うつ病(双極性障害)などの場合は、躁状態の日には「一日で車を2台も契約してしまう人もいる」など、後から問題になるという。
普通は親や兄弟などが後見人になるが、本人が成人した後や親が死んだあとは誰が「めんどう」をみるのか。「任意」と「法定」の違いは、家庭裁判所が入るかどうかの違いだ。家裁が後見人を選定して本人の代わりに財産管理や身上監護(日常生活の支援、病院・施設との契約)を行う仕組みだ。
課題は「面倒見」の費用である。後見人の活動の報酬は、当然本人の財産のなかから出されるが、本人の財産がない場合(なくなった場合)には、自治体の「成年後見利用支援制度」から出される。だが、助成金の金額は月2万円程度と少ない。成年後見制度は、本人が死ぬまで後見人の変更はできない。「本人の財産がなくならないことを祈る」しかない現状もある。
さらに、任意後見の場合は意図した人に役割を任せることができるが、法定後見の場合は「意図しない人」が後見人になる恐れがある。財産狙いの人もいるかも、と言われる所以だ。
「自分の世話を頼める人がいない時代」の安心を作る仕事
少しずつだが、この制度は一般にも広まってきている。「新たな選択肢として捉えてもらえるようになって嬉しい」と松本さんは話す。
病院で勤務していたとき、支援や生き方などの選択肢が限られている現状をたくさん見て、「なんとか新しい道を作れないか」と悩んだそうだ。そこで、松本さんは病院から離れ、そえしあに勤めることで成年後見制度の利用が増えた。「利用者や親族の安心した表情が見られるようになったことが嬉しい」という。しかし実際には、任意後見制度より法定後見の割合が圧倒的に多く、決断が遅れてしまう場合が多いのが現状。
松本さんにとって“選択肢を増やす”ことが大きなキーワードであり、ラジオの中で、「もし今、老後や現在について不安を抱えている人がいたら、すぐに相談してほしい」という。
少子高齢化が急速に進んでいる。自分の世話を頼める人がいない場合が増えてきている。そのような時代に柔軟に対応するため、この制度を利用することでまた新たな生きる道が見つかるのではないだろうか。(蓮井 菜乃花)
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