10/25・26・27と能登へ行き、4つの集会所で、ピアニストの岡倉ゆかりさんと共に音楽セラピーを行いました。
各集会所は全てセットリストが違っていましたが、どこの集会所でも一曲目は美空ひばりさんの「雨燦々」でした。この曲は誰もが知っている曲で、歌が始まると涙を目に浮べる方も多かったです。
「1曲目で泣いたの初めて」「最初の「あ」だけで泣いてしまった」と、皆さん話していました。
皆さんから直接お話を聞いたわけではありませんでしたが、その様子を見ていて、これまでの生活がどれだけ辛く、厳しいものだったのかと考えさせられた時間でした。
特に印象的だったのは開始時間30分前に会場に来てくださった女性。この方は「大変なこともあるけど、私は被害も少なくて助けてくれる人も多いので感謝しかない」と終始笑顔で話されていました。
しかし、音楽セラピーが終わったあとには、「自分は大丈夫だと思っていたけど、疲れてたということに気づいた、ありがとう」と、肩の力が抜けたご様子で「今日、これて良かった」と仰っていました。
足湯だったら、こんな「つぶやき」はなかったかもしれません。足湯は足湯の良さが、音楽には「音楽の良さ」があるんだと思いました。今回のタイミングで、音楽セラピーを開催できたことを光栄に思います。
その他にも
「こんなに声を出したのは80年振り」
「歌は好きなのに歌う機会が最近はなくなっていた」・・・
など、皆さん音楽を楽しんでくださいました。それぞれの思い出の曲や、それぞれの想いが混じりあって、言葉にできない尊い時間でした。
自分にできることは本当に少なく、能登へ行っても何もできていないかもしれません。皆さんと足湯を通してお話する、音楽セラピーを通して時間と音を共有する、たったこれだけかもしれませんが、またあえてよかったと泣いて喜んでくださる方が居る能登へまた、行きたいと思います。(森満里奈)