宇都宮の済生会病院で行われた外国人無料医療相談会にボランティアとして参加した。検診がスムーズに行われるようにサポートするのかな?と思っていたが、実際に任されたのはなんと「通訳」。英語しばらく話していないし、1か月の留学経験で「本当に大丈夫⁉」と…。実際に話してみると案外話せた。自分でも力になれると実感した。しかし、簡単な単語やフレーズが出てこなかったり、上手く通じないことがあったりで悔しかった。
在留資格ない⇒「働くことができないので、食べることができない」
このボランティアを通じて在留資格のない日本に住む外国人の現状を目の当たりにした。私が担当したナイジェリア人の男性は「働くことができないので、食べることができない」と嘆いていた。健康診断に来たにも関わらず、彼の主張はとにかく「おなかが減っているんだ!」ということであった。そして、彼にたくさんの未払いの水道代・ガス代・電気代の請求書を見せられてとても驚いた。今回検診に訪れていたのは、主にアフリカ系の、仮放免であったり、在留資格がなかったりする人がほとんどであった。無料医療相談会では、健康診断だけでなく、生活相談をして家賃を肩代わりする、無料で食料やおもちゃを配布する取り組みも行われた。
「受け入れ簡単、いらなきゃポイ」の外国人労働者
済生会病院の荻津さんによると「日本は、労働力を使い捨てだと思っている」と語っていた。日本では外国人労働者を受け入れることは簡単であるが、いらないと思ったらすぐに解雇する現状にあるという。「今後、日本に労働力として来る人は少なくなる。もうすでに日本の現状に気づき、オーストラリアなど他の国を選択肢として見ている人もいる。このままでは日本の未来はない」という。在留資格もなく、母国に帰ることも不可能な「日本にいてもいいけど、野垂れ死ぬのも勝手だよ」という日本の考え方は残酷である。また、一緒に医療相談会に取材をした内田さんによると、「外国人の技能実習生は介護分野でも来ていて、日本語能力のほかに介護福祉士の試験に4年以内に合格しないと帰国」と言っていた。
日本は、現状を隠している
先ほど出会った在留資格のない外国人や、荻津さん内田さんの話を聞いて、「日本はこの現状を隠しているのだな」と感じた。無料医療相談会のような機会がないと、普段生活しているだけでは全く見えない。正直、このような人々に対して「どうでもいい」と思っているようにしか感じられなかった。もしこれで、万引き・窃盗など犯罪が発生したら、これは難民申請も認めない国の責任でもあるのではないか。
私は、今回自分にもできる支援があり、在留資格・仮放免・難民申請等について、このような現状があることを知らせる必要があると思った。個人的にはもっと深い支援ができるようになりたいし、今後も忘れないようにしたい。(根本/学生)
※EPA介護福祉士候補生:インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国からの外国人が対象で、日本の介護福祉士資格取得を目指して介護施設で働く。看護系学校の卒業生か母国で介護士の資格を持っていることが要件で、日本語能力はベトナムがN3、フィリピンとインドネシアがN5。介護福祉士試験に4年以内に合格すれば永続的に働けるが、不合格の場合は帰国しなければならない。