助けが必要な人々の声を聞いて社会福祉士は何をしているのか? 松葉友恵さんにインタビュー

 今回は、宇都宮市の「とちぎボランティアネットワーク」でフードバンクの相談員をされている社会福祉士の松葉友恵さんにお話を伺いました。

活動に対する思いや、社会福祉士としての具体的な業務、またこれからのビジョンについてお話しを伺いました。

 松葉さんは、生活相談を行っています。フードバンクでは「生活に困って食べるものがない方が訪れ、食品をお渡しすることはもちろんですが、それに加えて生活全般の相談に乗り、一人ひとりの生活状況に合わせた支援をしています」と、語ります。

  地域で生活に困っている人々の相談を受け、必要なサポートを提供することが社会福祉士の役割だと説明してくれました。「単に相談に乗るだけでなく、地域の資源や支援制度を最大限に活用し、問題解決に導くのが私たちの仕事です」と力強く話されます。

社会福祉士になるまでの道のり

松葉さんが社会福祉士を目指したきっかけは、母親からの勧めでした。「もともとは営業職をしていたのですが、転勤が多くなる可能性があったため、どこに行っても使える資格を取りたいと考えていました。そんな時に母から社会福祉士を勧められ、その魅力に惹かれて勉強を始めました」とのこと。

 

 社会福祉士になるためには、福祉系の大学を卒業するか、養成学校で学び直す必要があります。松葉さんは「1年9ヶ月、実習や課題に取り組み、国家試験に向けて300日間毎日勉強しました」と、その道のりを振り返ります。1日わずか10分でも勉強を続ける姿勢が合格への鍵だったと語ってくれました。

フードバンクでの具体的な活動

 松葉さんのフードバンクでの業務は多岐にわたります。毎日10〜20人の方が訪れ、その一人ひとりの状況を詳しく聞き出し、適切なサポートを提供しています。例えば、働いていない方にはハローワークの利用を勧めたり、高齢者には年金事務所への相談を紹介したりと、細やかな支援を行っています。

 

「働きたいけど健康上の問題で難しい方や、失業中の方、さらには借金や家庭の問題で困っている方まで、相談内容は本当にさまざまです」と松葉さん。相談者の話を丁寧に聞きながら、利用できる制度や支援策を提案しています。

印象に残ったエピソード

松葉さんが特に印象に残っているというエピソードとして、ホームレスの方との出会いがあります。「ある日、50代後半から60代の男性2人がフードバンクに来て、とても気が立っている様子でした。彼らは2日間何も食べていない状態だったんです」と振り返ります。フードバンクの代表が彼らにすぐに食べ物を渡すと、顔つきが一気に変わり、笑顔になって話し始めました。

 「その瞬間、食べ物が持つ力を改めて感じました」と松葉さんは言います。多くの相談者の中で、今でもその2人の名前を覚えているという松葉さんの言葉から、温かい人柄が伝わってきます。

依存症への理解と支援

最近では、依存症に関する勉強も進めているという松葉さん。フードバンクにはアルコール依存やギャンブル依存の方も多く訪れるそうです。「依存症は単なる意思の問題ではなく、その背景には深い孤独感や苦しみがあります。正しい理解と支援が必要です」と強調します。

依存症について詳しい知識を得るため、当事者から直接話を聞いたり、セミナーに参加するなど、日々の学びを欠かさない松葉さん。「依存症についてもっと知り、支援できる幅を広げていきたい」とも語っています。 

 松葉さんの目標の一つは、「困窮している方々に向けた料理教室を開くこと」です。「料理は生きるための基本的なスキルであり、それができるようになることで生活の選択肢が増えると思います」と話します。「特に、炊飯器の使い方を知らない方や、インスタントラーメンすら作ったことがない方もいるため、基本的な料理スキルを身につけることは大切です」とその思いを語ります。

社会福祉士を目指す方へ

松葉さんから社会福祉士を目指す方へのメッセージは、「勉強は楽しいものだということ。社会福祉士として社会の中で新たな仲間と出会い、共に学び、成長できることに喜びを感じてほしい」というものでした。

 ご自身の経験を通じて、社会福祉士の仕事は「人とのつながりを作り出す素晴らしい役割」であると感じています。「一人で頑張るのではなく、仲間と支え合いながら進んでほしい」と強く勧めていました。

もっと詳しく知りたい方はYouTubeでインタビュー動画をご覧ください!

ブログでは語りきれないエピソードもありますよ!

 

リンクはこちら⇨https://youtu.be/P95bdb8OOFI?si=QUyNU9gyRQDekKW8

インタビュー後記

 今回のインタビューを通じて、松葉さんの真摯な姿勢と熱意がひしひしと伝わってきました。松葉さんは単に食料を配るだけではなく、相談者一人ひとりに寄り添い、その人の抱える課題を一緒に解決していくという使命感を持っています。

 また、依存症や生活困窮者の問題に対する深い理解を持ち、さらに学びを続ける姿勢にも感銘を受けました。松葉さんのような社会福祉士がいることで、困っている方々が少しでも安心して暮らせるようになると感じました。料理教室を始めとする新たな挑戦が、地域にどのような変化をもたらすのか、とても楽しみです。私たちも、松葉さんの活動を応援しながら、支え合いの大切さを改めて学んでいきたいと思います。(ボランティアのしょうちゃん)