里親制度で「子ども」が安心して生活できる環境づくりを

6/4のみんながけっぷちラジオでは、「里親」をテーマに、NPO法人青少年の自立を支える会 ファミリーホーム「はなの家」ホーム長の石川浩子さんをゲストにお迎えしてお話を伺った。

 

血のつながりだけが家族じゃない

 石川さんがファミリーホーム「はなの家」で里親を始めたのは10年前。ファミリーホームとは、里親が5~6人の子どもと一緒に暮らし養育する、家庭養護の一種である。石川さんはこれまで10人の子どもを里親として育ててきた。そのほかにも短期で預かった子どもを含めると関わってきた子どもは30人になる。最初は24時間365日子どもたちと一緒に暮らす里親になることには覚悟が必要だったという。しかし、「血のつながりだけが家族じゃない。」はなの家に来る子どもたちを家族として迎え入れ、11人愛情をもって向き合っていると話した。「子どもたちは、様々な事情のもと、自分で暮らす環境を選ぶ選択権のないままここにやって来る。今日からここがあなたの家だと言われ、見知らぬ人たちと暮らし始めなければならない。そこで生き抜く子どもたちの大変さや頑張りを理解してあげてほしい。」と語った。

 

折り合いをつけて生きていく環境

石川さんは、児童養護施設で働いていた経験ももつ。しかし施設職員と里親では、子どもへの向き合い方が全く違う。施設の職員は「仕事」として子どもと向き合うが、里親はそれが「暮らし」の一部なのだ。時に子どもとぶつかり腹が立つこともあるが、家族ならばどこかで互いに折り合いをつける。親としてそれに向き合うことには覚悟が必要だが、子どもにとってこのような環境を通し「折り合いをつけて生きていく」ことを学ぶことは、非常に大切だと話した。

 

里親制度は「子ども」のための制度

 家庭養護や里親養育が推進されている背景には、1989年に「子どもの権利条約」が国連で採択され、1994年に日本が批准したことがある。権利条約では「子どもが安全な環境で安心して生活するために守られるべき権利」が定められ、子どもが権利の主体と明記された。里親養育はこの考え方のもとに2016年から国が推進してきた比較的新しい制度である。

 国の推進もあり、里親制度についての認知度は高まってきている。その一方で、「里親制度は子どもができない人のためのもの」という認識があることを石川さんは問題視している。里親制度はあくまで「子ども」のための制度である。まずはその認識を変えていき、その上で里親になる家庭を増やしていきたいと強く訴えた。

また、子育てのサポート体制に関しては、セーフティーネットや人のつながりの重要性を語った。「どんなに良い制度や支援団体があってもその情報にたどり着くことができない家庭もある。そのような家庭をいかに見つけ出し、関係機関につなげるかが課題。そのつなぎ役になる人をもっと増やす必要がある。」

 

(ラジオ学生 ながたき)