聞くと行くでは、心の残り方が天と地ほどの差がある。まず、能登に行こう。

金曜の講義1つサボって、能登へ

 

 5/17から5/19にかけて、能登半島の災害支援ボランティアに参加してきました! 金曜日からの3日間ということもあり、大学の講義を一つサボっての参加となりました(笑)

 復興が全然進んでいないと知人に聞き、被災地の現状を自分の目で確かめたいと感じたことで参加を決めました。活動した場所は石川県輪島市町野町です。

 

50-80代、同世代なし。夜道は揺れた

 一日目、参加者10数人ほどが集まり、能登半島に向けて出発しました。参加者の多くが50代から70代で、中には83歳の方もいらっしゃいました。同世代の人がいなかったので、果たして打ち解けられるのだろうかと不安でしたが、フレンドリーな方ばかりですぐに打ち解けることが出来ました。バスに揺られて10時間ほどで、珠洲市にある宿泊先に到着しました。目的地に近くなると、ジェットコースターかと思うほどバスが揺れました。通れる道でも整備はまだまだ進んでいないのだな、と真っ暗で道路が見えなくても分かりました。

 

潰れた家々、、日常が簡単に崩れ去るのだ。4か月なのに、まだ!

 二日目の活動は、足湯のボランティアを行いました。足湯は仮設住宅に設置されている集会所で行いました。活動場所に向かうバスからは、生々しい震災の爪痕をたくさん見ました。一階部分がなくなって二回だけになった立派な瓦屋根の家、傾いた鉄筋コンクリートの建物、跡形もなく崩れた家など、思わず目を覆いたくなるような光景でした。私たちが当たり前だと思っている日常は簡単に崩れ去ってしまうのだということを強く実感したと同時に、どうしてつぶれた家が4か月以上もそのままなのだろうかと怒りを覚えました。

 

ツバメの巣が学校に沢山ある。「家がない」ので学校に集中してる

 足湯のボランティアでは、被災者の方とコミュニケーションをとりながらリラックスしてもらうことを目指しました。足湯をしながら悩みなどを打ち明けてもらうことで、どのような仕事をしてほしいのかなどのニーズを知ることが出来ると知りました。しかし、私の仕事はもっぱら子どもたちと遊ぶことでした。絵をかいて遊んだり、外でサッカーをしたりして、とても楽しい時間を過ごしました。子供たちと話す中で印象深かったのは、小学校にツバメの巣がたくさんできているという話です。家の多くが倒壊したことで、他に巣をつくる場所がなくなったため、小学校にツバメが来るようになったのだと中学校の理科の先生が言っていたそうです。ツバメの巣と同じように、町の施設も多くが学校の中に設置されていました。普通の生活を取り戻すにはとてつもなく時間がかかりそうだと実感しました。

 

草刈り! 山道は斜面崩壊、擁壁ごと崩れている。

 三日目は、草刈りを行いました。道中のいたるところが斜面崩壊をしていました。かろうじて土嚢が積みあがっていましたが、道路のすぐ脇には流木や土砂がたまり、ビニールシートをかぶせることもされていませんでした。コンクリで固められた斜面でも、その擁壁ごと崩れているところもあり、揺れの大きさは相当なものだったのだろうと感じました。草刈りの作業を行ったのは、日本の里百景にも選出された金倉集落というところです。普段は美しい田園風景が広がっている地域ですが、田植えがされていない田んぼも多く、多くの民家が傾いたりつぶれたりしていました。今回は、美しい景観を維持するための田んぼの草刈りでした。数人での作業でしたが想像以上に綺麗になりました。しかし、草刈りができていない場所はまだまだたくさんあり、全然人手が足りないなと感じました。

 

災害対応と地域社会のありかたを自分事として考えないと。

 ボランティアに参加するには、お金と貴重な休日をささげる必要があり、仕事に勉強と日々忙殺されている人にとってはハードルが高いと思います。しかし、話に聞くのと実際に現場に行って活動をするのとでは、自分の心への残り方は天と地ほどの差があると思います。私は、あまり深く考えずにこのボランティアに参加したのですが、それでもいろいろな人との出会いや様々な発見があり、災害への対応や地域社会の在り方を自分事として考えていかなければならないと感じました。特に、これから社会を支えていく若い人たちが考えていくべき課題だと考えます。皆さんも是非、能登半島の災害支援ボランティアに参加してみてください。(榎森)