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4/30ラジオ 犬の世話で、引きこもりの若者が元気に。「人の福祉と動物の福祉」両方を向上させる

4月30日のみんながけっぷちラジオでは、認定NPO法人キドックスの事務局長の岡本達也さんをゲストに迎えた。キドックスは、子供(kids)と犬(dogs)を掛け合わせたものである。名前のとおり、子どもや引きこもりの若者がボランティアで犬の世話をすることで元気になり、一方で保護犬も助かるというもの。子供・若者、保護犬(人と犬)の孤立をなくし、人間も動物も自分達らしく生きられる福祉社会の実現を目指している。拠点は茨城県つくば市だが、将来は宇都宮にもキドックスを作る予定だ。

 

引きこもりの若者も保護犬も「声なき声を持っている存在」

キドックスの活動は2015年に始まった。動物介在活動とは、例えば、犬や猫がいると高齢者の表情をニコニコさせたり、動物をなでようと腕を伸ばしたり、もっとよく見えるように自力で姿勢を変えさせたり、自ら行動を起こすきっかけを作ってくれる。これらを動物介在活動(AAA)、動物介在療法(AAT)という。キドックスの動物介在活動は、「人と動物の福祉」のどちらの向上を目指しているという。

「動物と人間の福祉は切っても切り離すことができない関係で、動物がケアされている環境や地域であれば人の福祉水準も高い」と岡本さん。「地域社会を先導するアニマルシェルター(動物の保護所)」で、飼い主がいない保護犬を里親へつないだり、不登校や引きこもりの子供が施設運営や保護犬に関わったりすることで「地域とつながる支援」をおこなっている。

「引きこもりの若者たちも、保護犬も『声なき声を持っている存在』で、社会の中で生きづらさを感じていても、その気持ちを発信伝えることができない。そのような共通点を持っている犬と人が輝ける場所です」と岡本さん。「若者や保護犬の成長に直接関わることができる」と話し、活動のやりがいを教えてくれた。

 

「関係性の貧困」とは「関係をつなぐものの貧困」かも

貧困とはお金がないこと、と思うだろう。しかし現代は周りの人とのつながりが希薄になる「関係性の貧困」が問題視されている。周囲に頼れる人がいない状況は人や動物にとって安心できる環境ではない。引きこもりの状態や、飼育放棄は「関係性の貧困」がある。

ある時キドックスに「犬を買い取ってもらえないか」と連絡をしてきた女性。子育てに疲弊していた自分の様子を見た夫が、「癒しになれば」と犬を買ってきたが、犬の世話と子育ての両立は難しいという。しかし、話をするうちに気持ちがポジティブに変わり、「もうちょっと頑張ってみる」と最後に言ったという。このように、動物を介して犬と人、人と人がエネルギーをもらえるコミュニケーションが重要で、「関係性の貧困」解消のヒントもこんなところにあるという。

(ラジオ後記)

動物介在活動は、人と動物の双方にとっての居場所となると知った。現代はインターネットによって世界をより身近に感じられる気がするが、関係性を築くうえで大切なのは目の前にいる1人に向き合い心を通わせることなのだ。岡本さんの心温まる話を伺って、ぜひキドックスを訪れたいと思った。将来宇都宮市にできるキドックスに注目していきたい。(ラジオ学生とま)