在宅福祉が崩壊した社会ー「このままでは在宅で死者が出る!」福祉・医療関係者が観た能登地震

写真:RSY提供
写真:RSY提供

第6陣の小林佑揮さん(鹿沼)と、福祉枠で行った柴本沙南さん(那須塩原市)の報告です。

 

小林さん(理学療法士・柔道整復師)

 

〇感想

今 回被災地でのボランティアは初めてですが、初めての人でも温かく、また分かりやすくご指導して頂きとても助かりました。スタッフ間の連携がしっかりしており、スムーズに物事を進めることができました。

 現地での活動では僕が医療系専門職でもあり、訪問看護のスタッフとして動くことが多かったのですが、一緒に帯同してくださったRSYの山下さん、二村さん(看護師の方々)の仕事ぶりを見て刺激を受ける事が多く非常に良い経験をさせて頂きました。被災地の方やスタッフの皆さんがとても優しく、僕自身も楽しく活動する事ができました。いつになるか分かりませんがまた穴水へ行きます。

 

〇今後の課題・・・デイサービスがなく老老介護で疲弊。被災後「要介護」に。

 震災から2ヶ月が経とうとしており徐々に日常生活に戻りつつある人が多い中で、まだまだ家が倒壊して帰れない人や母屋は住めない状況のため納屋で生活されてる方が多いと感じました。また家屋が無事でも水道などのライフラインが無い方、屋根瓦が剥き出しになり雨漏りが発生している方、物が倒れて散乱し片付けもままならない方、困っている人は沢山いてボランティアの仕事がなくなることは無いなと感じました。

 最も足りないと感じたのは介護や看護の必要性です。現地ではデイサービスが利用できなく老老介護で疲弊している方が沢山います。また、被災されてから介護が必要になった方もいます。そういった方の様子を伺うだけでも孤独死や転倒等の怪我の予防につながると思います。

 それに当たって最も必要なのは人手です。専門的な知識がなくとも出来る介護は沢山あります。まずは出来ることから始めていくのが1番だと思いました。

 現地の人数を増やすには、現地常駐スタッフの必要性も感じました。すでに現地スタッフの導入も検討されているという事ですので早めの行動ができればいいなと思いました。正直なところRSYの常駐スタッフさんはかなりいっぱいいっぱいな状況でボランティアセンター勤務の方も被災から2日しか休みがなく10キロも体重が減ったと仰っていらっしゃいました。そろそろ疲れが出てくる頃だと思います。早ければ早いほど二次被害が少なくなると思いましたのでご検討のほどをよろしくお願いします。

 また、医療系知識のあるスタッフが現地には藤田医科大学の先生がいらっしゃいますが、避難所の対応で手一杯で地域住民の方の健康状態に気を使う余裕がないです。医療知識のある方々へのボランティアの必要性をもっと認知して貰う必要があるなと感じました。長くなってしまいましたが今後の課題としてご検討宜しくお願い致します。

 

●柴本さん(障害者支援相談員)

 

 わたしは能登町の日本海倶楽部という障がい者の入所施設に派遣されてました。建物はところどころ傷んでいましたが、応急処置をして入所者が戻って2週間、というところで、その前、別のところに避難して雑魚寝生活をした後だったので、ホッとした状態だったようです。

 お正月帰省していた方も、家族と一緒にはいられずに施設にすぐに戻ったとのこと。被災した実家に長くいるのは難しいようでした。

高齢者や障がい者など、一番弱い人の生活をキープしていかないと、家族や周辺の人たちはの影響がどんどん大きくなってしまうんですね。

 環境の変化に弱い重度障がいの人たちの生活を支えるために、職員の人たちすごく頑張っていましたが、表情には疲れが見えました。

 電気、水が来ていて、入浴、洗濯ができましたので、職員の方も家の洗濯物を持ってきて仕事の合間に洗濯したり、利用者さんと一緒にお風呂済ませたりされてました。

 地域の人にもお風呂を開放していましたが、そんなにどんどん来るわけではなかったですね。自衛隊風呂は待ち時間が長くて…という愚痴も聞きました。仕事している人はお風呂のために何時間も待てないですもんね。

 職員の方には津波と火事で家をなくして全く出勤できず遠くに避難して退職された方もいましたし、納屋で生活しながらなんとか通っているけど、高齢のお母さんが徘徊し始まってしまって限界、と金沢に移られる方もいました。

再建したいけど、液状化で車が沈んでいったのを目の前で見たから、また住みたいと思えない、とのこと。

 カップ麺や水などの物品はそれなりに届いている、と聞いていましたが、外のビニルハウスにストックしていたところ、いつの間にか盗まれるという事件も起きました。誰がどうということではなく、このような災害は人を変えてしまう面もあるんだな、と。

 日本海倶楽部はJOCAの支援拠点にもなっていて、地域の御用聞きをしていたようです。その中で漁業の技能実習生(外国人)が漁にも出られず、入浴できずで雨水を溜めて体を拭いている、という情報が入って、施設にお風呂に入りに来たということがありました。

 また、集落全体が避難しているのに、精神疾患のあるらしき一人暮らしの女性が瓦落ちて雨漏りする家からどうしても動けない、となって行政の方が苦慮されている、とも聞きました。

 福祉のところへのお手伝いが、回り回って一般?の人たちへの生活再建のお手伝いになるということがよくわかりました。

 わたしもまた能登にお手伝いに行こうと思ってます!