〝生き物遊び〟を子どもたちとやりたい。サケ産卵見たり、カワゲラ食べたり、急坂走ったり‼

「五感で楽しむ自然体験の機会を子供たちに持ってもらいたい。」

ゲストはサシバの里自然学校・校長の遠藤隼さんだ。里山の豊かな自然をフィールドにして、子どもたちと自然体験活動を行っている。

「サシバ」はタカの仲間で、里山の生態系の頂点にいる里山の象徴的な生き物である。このサシバが舞う豊かな里山では、たくさんの生き物や人との出会いがある。その中で、子どもたちの中に新たな価値観、生き物や自然に対しての愛情がはぐくまれる。

 

少し前にはできた〝生き物遊び〟ができない現代

遠藤さんは小さいころから自然に親しみ、生き物が好きだった。宇都宮郊外の赤川ダムや田川でよく魚釣りをしていたという。大学生になり、サークルで子どもたちに対して自然体験を行った。「自分が楽しいものを子供たちと一緒に共有することに喜びを感じ、これを仕事にできたらいいなと感じた」という。この経験が自然学校の源流となった。

今回、ラジオに先立って私が参加したサシバの里の活動は「生き物塾」。

「生き物と関わる。釣り、虫取りとか。これを〝生き物遊び〟と呼んでいます。ちょっと前までは普通にどこでもできた。でも最近はそういう場所も減っている。そういう遊びを子どもたちと一緒にするのがテーマ」と遠藤さん。

 

塾でやった「サケ遡上見物」+「カワゲラを食べる」+「山ランニング」

 さて、今回の塾は「サケの遡上を見よう」だった。「栃木県でもサケが見られるのか」と期待して見に行ったのは、那珂川の中流域。サケが産卵するスポットがあり、そこを中心に川のあちこちを見て回ったが、どこにもサケはいなかった。ここ数年サケが上ってこないらしく、主な原因として海水温の上昇があるという。地球温暖化の影響を身近に感じた。

 サケの遡上は見られなかったが、寒い水の中でたくましく生きる生き物たちを見ることができた。カワゲラ、トビゲラの幼虫などの水生昆虫、カエルも見られた。そしてこの「水生昆虫を食べる」というのも今回の一大イベントであった。素揚げを食べたが、エビのようで、おつまみにもいいと感じた。

 

「鎌倉山ランニング」上ってきて良かった!

今回の生き物塾。実は、子どもたちの印象に一番残っていそうなのは鎌倉山でのランニングだろう。茂木町にある標高216mの山で、那珂川の断崖にある展望台から見る眺望はとても美しく、観光スポットにもなっている。サケの遡上・生き物塾と、鎌倉山ランニングは毎年の恒例行事になっている。楽しみに来ている子どもたちもいて、頂上への道は想像以上に長く、さながらサケの遡上を体験しているようだった。へとへとで上った展望台から見る那珂川は雄大で、登ってきてよかったなと思った。(えのき)