平山努さん(栃木登校拒否を考える会・県北の集い「ほどほど」)
●「学校に行かなくていい」息子に言えなかった後悔
10月11日のラジオは、ゲストに栃木登校拒否を考える会・県北の集い「ほどほど」世話人の平山努さんと、コメントおじさんに中野さんを迎え、話を聞いた。
「ほどほど」は不登校に悩む親が語り合う場である。平山さんは県北地域の世話人として、会場の手配や広報をおこなっている。自身も不登校だった息子をもつ父だ。不登校になり始めたころの話を聞いた。
「当時は、無理やり着替えさせ、引きずってでも学校に連れていった」。PTA役員だった平山さんは「学校は行くもの」との意識が強かったという。
息子さんが学校に行かなくなってからしばらくたち、新聞で「栃木登校拒否を考える会」主催の講演会の告知が目に止まった。講演会を聞いた妻から話を聞くと「しっくりきた」。そこから妻と一緒に、親の会に通うようになった。
息子さんはその後、通信制高校に通うことを選んだ。平山さんが強制したわけではなく、好きなようにさせた結果がこれだった、と話す。ある時はネットゲームにはまり、昼夜逆転の生活を始めたこともあった。そんなときも見守り続けた。親の会で「昼夜逆転した子供もいずれ普通の生活に戻る」という話を聞いていたためだ。聞いていた通り、そのうちゲームはやらなくなり、生活リズムも整っていった。
平山さんは、息子さんを無理やり学校に行かせたことを後悔していると話す。「学校に行きたくなければ行かなくていい、学校を休むことは必要」と、当時息子に伝えられなかった声を、多くの人に理解してもらいたいという。
l 「教育機会確保法」成立も、残る不登校への偏見
文部科学省の調べでは不登校児は、全国に19万人いる。彼らの7割がその後も学校に行くことはないという[i]。中野さんはラジオの中で「国はその状態をみて、学校に行かない子どもの存在を認めざるを得なくなった」と話す。文科省は2016年、普通教育機会確保法という法律の中で「学校は休むことは必要。不登校は問題行動ではない」ことを認めた。
国が認めた一方で、行政や市民の中に「学校は行かなくてもいい」という声は少ない。中野さんは「学校に行かないといったら、なぜ行かないの?と聞かれる。学校に行くことが当然になっている」と今の実情を嘆く。二人が、不登校が理解される世の中を願う熱い気持ちが伝わってきたラジオだった。
最後に疑問をぶつけてみた。「学校に行きたくない」と子供が言ったとき、親はどう対応すればいいのだろう。どんな場合も「学校に行かなくていい」のだろうか?
中野さんは難しい問題だとしつつ、「とりあえず登校拒否を考える会に来てみてほしい」と言った。選択肢が多様化する今、本人さえあいまいな心の内を、大人はどう見極め導くのかが問われている。(鈴木)
栃木登校拒否を考える会県北「ほどほど」…西那須公民館で月1回の集会を実施。詳細はHPかFBへ。
https://m.facebook.com/people/栃木-登校拒否を考える会/100057585545623/
http://www.㏄9.ne.jp/~ishi3/
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[1] 文部科学省がR2におこなった小中学生を対象にした調査である。全国の小中学生の50人に1人が不登校だという計算になる。(文部科学省、2021、令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果より)
[i] 文部科学省がR2におこなった小中学生を対象にした調査である。全国の小中学生の50人に1人が不登校だという計算になる。(文部科学省、2021、令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果より)