「これからどうなるのだろう」原発事故小4、漠然とした不安

○「なんで自分がこんな目に…」転校先の友人に見せなかった思い

 5月15日の「次世代に伝える。原発避難11年目ラジオ」では、福島県葛尾村出身の吉田尚輝(よしだなおき)さんをゲストにお呼びして話を聞いた。吉田さんは、私(櫻井)の小中学生の頃の同級生である。小学5年生の震災当時、葛尾村から私の小学校に転校してきた。それまでに2、3回も避難先を移転していたという。

 はじめは、近所の体育館で避難生活。当時は食や風呂などの生活環境が整っておらず、精神的な負担が多かったという。「これからどうなるのだろう」という漠然とした不安があった。

その後、会津に住居を移し一時的に市内の小学校に通い始めたが、そこではいじめや嫌がらせなどがあった。「なんで自分がこんな目に遭わなきゃいけないのか」と悩むこともあったようだ。

 その後、私の地元の三春町にある仮設住宅に移り、町内の小学校に転校してきた。当時の吉田さんは、避難で大変な思いをしている様子を一切見せなかったため、同等な立場である普通の友人として学校生活を共にしていた。しかし、実際は多くの悩みを抱えていた。仮設住宅にはゴキブリが大量発生したり、防音性がなく近所の生活音にストレスを感じていたこともあったという。避難当時の話を聞いたのはこのラジオが初めて。あらためて吉田さんをゲストに呼ぶことができて良かったと思う。

 

○「福島は“復興”だけでなく、成長している」

 これからの活動について話を聞いた。

「福島=震災・原発事故が起こった場所、というイメージをなくしたい。まずは福島に訪れてみて、地域の魅力を知ってほしい」と話す。

福島県内の学生が集うコミュニティサークル、SFF(Spread From Fukushima)でも活躍する吉田さん。

「福島県は復興しているだけではなく成長している。福島県を盛り上げようと頑張る若者の活躍を多くの人に知ってもらいたい」と語った。「福島って意外と良いところだな」と思ってもらえるように、私自身もできることをしていきたいと思う。(櫻井)