放射能 福島だけの問題じゃない!脅威を見える化する活動

 3月26日のラジオ、ゲストは市民団体「那須希望の砦」の竹原亜生さんでした。那須希望の砦は、東日本大震災直後の2011年5月頃から活動を始めた市民団体。「放射能から子どもを守る」をモットーに、放射能の計測や除染を行っています。

 

保護者と一緒に計測、周りも巻き込んで活動

 「砦」のはじまりは、2011年5月に那須町で行われた勉強会。原発事故後、那須にも飛散してきた放射能に関する勉強会を市民有志で実施し、その参加者を中心に会が立ち上がりました。

 砦としてまず行った活動が「子どもたちを守る」こと。子どもたちが使う通学路の放射能の濃度計測でした。これは保護者と一緒に計測したそうです。中心メンバーだけでなく「子どもの周りにいる人たちも一緒に活動しよう」という考えからです。教育委員会ともタイアップして、保護者に集まってもらい、なんと那須町全体の通学路を放射能測定。一か所測るのに5分とか10分とかかるそうで、相当の時間をかけて測定したことがうかがえます。

「会員だけじゃなくて保護者と一緒にやったからできた」と竹原さん。広く市民にも放射能について正しく知ってもらうよい機会だと感じました。

 

わかりにくい放射能をわかりやすく

 昨年発行され隠れたベストセラーになっている『17都県放射能測定マップ』の作成にも那須希望の砦が携わっています。その本には17都県、約4000人のボランティアが3400地点の放射能測定をした結果や、福島第一原発事故当時の天気や風の流れなどが掲載されています。その栃木県の測定を担当したのが那須希望の砦です。全国に計測所は約100か所あったそうですが、今はやめていったところもあり少なくなっているそうです。栃木の計測所は那須のほかに益子にもあるそうです。計測所が少なくなってきている中で、計測所同士が連携しようということになり「みんなのデータサイト」(https://minnanods.net/  )を作りました。そこで全体計画を作り各計測所が分担して測定。本を開いてみると、パッと見ただけで放射能の濃度が色別で分けられていて、わかりやすいつくりになっています。放射能に関する書籍というと、放射能の危険性を伝えるものが多く、事実のみを伝える書籍は意外と少ないとのこと。この書籍では、濃度が高いところが誰にでもわかり、そしてなぜそこは高いのかまでわかりやすい説明付き。一般市民には正直言ってよくわからない放射能を、わかりやすく「見える化」することで必要以上の心配やデマの防止につながりますね。steam

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 竹原さんありがとうございました。放射能の汚染というと福島の問題とばかり思っていましたが、栃木県でも汚染の問題は深刻だったということが衝撃でした。放射能は目に見えないため、根拠のない不安が横行しがちですが、見える化することで適切な判断につながると思いました。(小林芽依)