斉藤智久さんからも活動報告が届いています。
昼休み…。車がやっと一台通れるような、山際に建つ住宅の間を縫うように登っていく道から、さらに脇の草道に入っていくと、そこにはよくある夏の風景。 辺りを囲む山々から届く蝉時雨、草の上に横たわると、そよぐ風がなんとも心地よい。
青い空に浮かぶ雲のように、ゆったりと流れる時間…。ただ一点、緑の中に傷口のように広がる赤茶けた山肌を見ると、急に現実に引き戻される。
京焼・清水焼の工房が軒を連ねる、緑豊かなこの山里を変えた始まりは、ほんの一滴の雫からだった。 次から次へと無数に降りしきる雫は、やがて山肌を押し崩し木々をなぎ倒して、土砂と共に平穏な日常をも押し流してしまった。
そんな自然の猛威の前に、人間はあまりに無力。 …だろうか? ボランティアとして作業に参加するたびに感じるのは、人の力だ。
一人の力は僅かだとしても、それが集まり積み重なった時には、無数の雫にも、負けることはない。ボランティアの汗の一滴が、時には、思わぬ困難にに打ちひしがれた方にとって、希望の灯りとなるかもしれない。希望の灯りに照らされた感謝の一言が、時には、ボランティアにとって、生きる意味にすら値することもあるだろう。
そうした人と人との繋がりこそが、非力な個人を、無限に力強くするのだと。 「もうこうなったら、皆で助け合わないとあかん!」ボランティアとして作業していた、ある住民の方の言葉だ。生まれ育った故郷、住み慣れた家、愛する人…そうした思いを大切に受け止め、そして共に歩いていく事。
そのことを改めて教えてくれた炭山の方々、そして泥まみれになりながらも奮闘したボランティアの方々に、心からの感謝を込めて。 (さいとう)