毎週月曜日は、矢吹仮設支援の日。
きょうは小山から、笑顔の可愛いKさんが参加してくれた。
彼女とは、震災直後に知り合った。
とちぎVネットが、被災地に派遣していた宿泊型ボランティアで、福島に行く同じグループになったのだ。現地では、混乱の中、意見の食い違いやトラブルもたくさんあったが、全員が、真剣に向かい合っていた。初対面の人間同士だったけど、寝食を共にするうち、意気投合し、仲間意識が生まれた。それが「福島リピーター」となって、いまも、連絡を取り合っている。
「一回限りの縁」ではなく、自分に何ができるかを考え、支えあっている仲間たち。現在も毎週、自らの車で現地入りしている人や、定期的に飲み会を開いて情報交換しているグループもある。志の高い多くのボランティアが、とちぎVネットから繋がっていき、育っていった。
行きの車の中で、3人で思い出話をしていたら、あっという間に矢吹に着いた。
まずは、支援物資の配布。
日光市議の平木さんが、市政レポート「元気ネット」上で呼びかけてくださって、善意の下着と靴下が集まった。それを、希望者に手渡す。
子どもやお年寄りがいる、ご家族の多い家庭には特に喜ばれ、「ありがとうございます」と、深々と頭を下げられる。ご寄付いただいた皆様、ありがとうございました。
きょうは午前中、幼稚園の子どもたちが集会場に来て、歌や手遊びを披露してくれた。私たちも皆さんと一緒に楽しみ、和やかな時間を過ごした。
11時になり、お昼の準備に取り掛かる。
メニューは、正嗣の餃子、けんちん汁、新米ご飯。
実は、このところ、矢吹に来る度に、仮設の皆様から差し入れをいただき、お昼をごちそうになっていた。
ボランティアは、おにぎり持参で来ていたが、まけないぞう作りが盛況で、2時過ぎまで休憩を取るヒマがなかった。それを気の毒に思い、自宅から手作りのおかずやご飯を持って来てくださるのだ。「V飯」ならぬ、この「矢吹飯」をいただく度、私はありがたくて涙が出そうになる。
「あんたたちが倒れたら、大変だからね」
「ばあちゃんの味付けじゃ、口に合うかどうか分からないけど」
「一人で食べるより、みんなで食べる方がおいしいから。いっぱい作ったよ」
と、様々なお皿が並ぶ。
被災者とボランティアの垣根を越え、もう、家族のように感じてしまう。感謝していた私たちは、いつか、宇都宮の餃子を皆さんと一緒に食べたいと思っていた。
それが、きょう実現した。
午前中は、幼稚園の行事が入っていたので、まけないぞうはお休みして、昼食会を開くことに。
冷凍餃子を、ホットプレートでこんがり焼く。けんちん汁は、仮設の皆様にお任せして、全部作っていただいた。それに、栃木県産こしひかりを、炊き立てでいただく。
矢吹仮設には、震災後に産まれた3ヶ月の赤ちゃんもいて、おばあちゃんと若いお母さんと3世代で参加してくれた。初めていらした方も、名札を付けていただき、互いに名前を覚えるようにしている。
おしゃべりしながら、楽しい昼食会が続いた。デザートの柿は、仮設の方からの差し入れ。食後には、星の家から寄付していただいた素敵なカップで、おいしいコーヒーを飲んだ。
さて、「まけないぞうはお休みします」と告知していたが、お仕事にしている方の作品は、たくさん出来上がってくる。お昼の準備をしている間、まけないぞう隊長は、製作者と共に和室に閉じこもり、検品・修正・次回の準備に忙しかった。それがまた、和気あいあいで、楽しそう。
きのう、「星の家まつり」に、とちぎVネットのスタッフが赴き、矢吹の皆さんたちが作った「まけないぞう」を販売したこと。
とても好評で、一日で73個売れたこと。
皆さんにお目に掛かっているのは、私たちしかいないけれど、影でみんなが支えあっていることなどをお話しした。
タオルを寄付してくださる方。
製作してくださる方。
ラッピングしてくださる方。
販売してくださる方。
購入してくださる方。
講習会で作り方を教えてくださる方。
寄付で支えてくれる方。
事務局を運営している人間たち。
「そういう方たちみんなの想いが、ひとつのまけないぞうに込められているのですね」と話すと、皆さん深く頷いてくださった。
私たちが帰り支度を始めると、なんと裁縫道具を持ち寄り、自主的な「まけないぞう講習会」が始まった。
仕事にしている人は、より良いものを創るために。
互いに知恵を出し合い、教え合う。
やったことない人は、それをじっと見ている。
テーブルや座布団を片付けようとしたら、「あとは自分たちでやるので、大丈夫です」とおっしゃってくださった。
今後も集会場を使って、自主的に集まっていくとか。
初めて矢吹に来た時、「まけないぞうは、難しいから無理」と拒否されたことが、遠い昔のようだ。
きょう来てくださった幼稚園の皆さんに、何かお礼をしよう…という話になり、まけないぞうのティッシュカバーをプレゼントすることにした。
次回から全員で、その製作が始まる。
初心者もベテランも、意欲満々である。
この仮設には、自治会こそないけれど、みんなが声掛けあって、情報収集をしながら支え合っている。
絶望から立ち上がっていく皆さんとお会いする度に、こちらが元気をいただいて帰っていく。
これから冬に向かい、被災地支援は、まだまだ続きます。
仮設に行ってみたいと思う方、ぜひご一緒しましょう。
とちぎVネットまでご一報ください。
リピーターとなっていただくことを、心から願っています。
早川記