NPO法人「こどもの育ちを応援する会」の設立まで
吉成さんがNPO法人を立ち上げた背景には、里親としての活動経験が深く関係しています。以前、児童家庭支援センターや養護施設で支援に携わっていた吉成さんは、そこで出会った子どもたちの多くが、安定した生活の場を必要としていることに気付きました。
しかし、既存の受け皿は限られており、緊急時に子どもを預かれる場所も不足している現実がありました。
「受け皿がもっと必要だ」という現場の声や、施設所長の助言を受け、仲間とともにNPO法人を設立。里親や地域社会と連携しながら、子どもたちが安心して暮らせる環境作りを目指しています。
里親としての日々:信頼関係を築くということ
「里親として一番大切なことは何ですか?」という質問に、吉成さんは「信頼関係を築くこと」と即答。特に虐待や放置を経験した子どもたちは、心に深い傷を抱えており、簡単には大人を信頼できない状態にあります。
その中で、子どもの感情を尊重し、安心して過ごせる環境を作ることが何より重要だといいます。
「試し行動」として、大人を困らせたり怒らせたりする行動を取る子どももいますが、そうした行動も「愛着を確認したい」という気持ちの表れであることが多いそうです。
「どんな状況でも、まずは大きな心で受け止めることを心がけています」と語りました。
また、里親としての生活は、実の子どもたちと里子の間でのバランスを取ることも課題です。それぞれの子どもたちが、お互いを尊重しながら共に生活する中で、家庭というコミュニティの大切さを学んでいく場面もあるといいます。
「一緒にご飯を食べたり、日常を共有することで、家族としてのつながりが少しずつ生まれるんです」と吉成さんは微笑みます。
地域支援の柱「モッキンバードファミリー」プログラム
里親としての活動を通じて、吉成さんが感じたのは「里親は孤立しがち」という課題です。特に初めて里親になる人や、特別なケアが必要な子どもを預かる里親にとっては、不安や孤独感が大きな障壁となります。その課題を解決するため、吉成さんが取り組んでいるのが、「モッキンバードファミリー」プログラムです。
このプログラムでは、里親同士の横のつながりを強化し、専門スタッフが定期的に調整役として介入する仕組みを取り入れています。
これにより、里親が抱える問題や悩みを迅速に共有し、解決へのサポートを得ることができます。「子どもたちにとっても、里親同士がつながっていることで安定した環境が提供できる」と吉成さんは話します。
モッキンバードファミリーの取り組みは、まだ認知度が低いものの、徐々に栃木県内でも注目されており、今後の展開が期待されています。
課題とこれからの展望
里親制度には、経済的支援や制度の充実といった進展もありますが、依然として解決すべき課題が多く残っています。たとえば、里親へのサポート体制の強化、偏見や誤解を解くための情報発信、そして何より「子どもたちの心のケア」が求められます。
次の目標として「ファミリーホーム」の設立を掲げています。栃木県北部に小規模な自動養護施設を作ることで、緊急時や長期のケアが必要な子どもたちが、安心して過ごせる場所を提供したいと考えています。
この施設では、地域の里親や児童相談所とも密接に連携し、子どもたちの多様なニーズに応える体制を整えたいとのことです。
生配信でのクイズ:里親制度を学ぶ!
生配信中には、視聴者が里親制度について考えるきっかけとして、吉成さんが3つのクイズを出題してくれました。
クイズ一覧
- 子どもが進学を希望したら、里親のポケットマネーで進学させる。〇か×か?
- 里親の家の住所は、子どもの実親に知らせる必要がある。〇か×か?
- 子どもが傷つく可能性があるので、実親のことは子どもに内緒にしておいた方がいい。〇か×か?
これらの答えは…ぜひYouTubeチャンネル「ボランティアのしょうちゃん」の生配信アーカイブをご覧ください! 意外な答えに驚くかもしれませんよ。
https://www.youtube.com/live/uFLa9dOK42k?si=hn7SotCg6RV03AA3