仕事柄、さまざまな病気を持つ方と接する機会がありますが、そういった方々の話を聞いていると、特に精神疾患をお持ちの方の多くは『現在の医師は話を聞いてくれない』『現在の治療方針では一向に良くならない』『行政や支援機関の人は自分のことを分かってくれない』など、本来であれば支援してくれるはずの人々に対して少なからず不満を抱いているような印象を受けます。
本人と医師や支援機関などとのやり取りを直接聞いているわけではないので、具体的にどちらが合っていてどちらが間違っていて…という話はできませんが、きっとどちらにもちゃんとした言い分はあるのでしょう。
しかし、精神疾患を抱えている人とそれを治療・支援する人が一丸となってこそ、制度や周囲の理解・協力を得ながら少しずつ回復して社会復帰していくことができるのに、最初の段階で本人と医療関係者・支援者とが信用関係を築くことができなくては、そこから前に進むことはなかなか難しいのではと思います。
そのような思いを抱く中、とある当事者がとても興味深い話を教えてくれました。
「医師や支援者は自分の状態を分かってくれない。なんでかって? たとえば自分が病院に行ったり市の窓口に相談に行けたりする時は自分の状態が良い時だから。状態が悪いときは家でまったく動けないからね。医者や担当者には家にいて動けないときの自分を見てほしい」
状態が悪くて自宅のベッドの上でつらくてまったく動けなくて、ようやく動けるようになったからと病院や窓口へ行く。すると、病院では適切でない治療や服薬を指示され、窓口ではあんたは元気だと言われてしまう。
そんな話を聞いて、妙に納得した自分がいました。
一番状態の悪い本人を見る。当たり前のようですが、精神疾患をお持ちの方の多くはその対応の難しさから家族には邪険にされ、友達には徐々に距離を置かれてしまい、相談できる相手もおらず孤独状態。頼ることのできる関係性を持った方がそのような状況であるので、状態の悪い本人だけでは医師や担当者に『今ですっ』と言うことすらできない。
私たち支援者がそういう状況の方々にどのように関わっていくか、考えさせられる言葉でした。
[ユモト]