7月15日(日)栃木YMCAさんよりご依頼いただき、アメリカより短期留学している14~15歳の学生さん11名が山元町のボランティアに参加くださいました。
この日は津波被害を受けリフォーム中のお宅で家具や大切な写真、書類などの洗浄作業などをしていただきました。
英語力が全くない私米山はご依頼いただいてからどうしようかと不安な毎日でしたが、なんと運良く通常のボランティアに参加いただいた松本さんが二カ月前に海外青年協力隊より帰国したばかりで英語がペラペラ。家主さんと学生さんのコミュニケーションの架け橋になってくださいました。
こちらの家主さんはご主人を震災の数年前に亡くし、奥様一人でワンちゃんと暮らしておりました。
震災当日、奥様はご自宅の玄関前で津波がくるのをずっと見ていたそうです。
そのまま波で持ち上げられましたが、流されることなく数時間玄関前で波に浮かびながら、目の前を流されていくたくさんの人や物をただ眺めているしかなかったそうです。隣の奥様も目の前を流されていき、数日後離れた場所で見つかったんだよ、と話してくださいました。
目の前で起こる想像もしなかった現実。被災者さんは皆さん一年以上経った今も昨日のことのように鮮明に記憶し話してくださいます。
震災の話題もだいぶ少なくなってきて我々の住む被災地以外の町では平穏な日常に戻り、きっと被災者さんももう普通に暮らしているんだろうと思う方も少なくないのではないでしょうか。
しかしその恐ろしい光景を目の当たりにした被災者さん達は未だにその記憶と、自分達の町や大切な人々を失った悲しみ、どこにもぶつけようもない怒りを抱えながら、それでも失った多くの命の分までと必死に前を向き生活していらっしゃいます。
きっとその光景を目にしている方々はこの先何年経っても記憶が薄れることはないでしょう。
「運命変えられちゃったわ~」と笑いながら話してくれたこの家主の奥様も。
心の復興。
こればかりは誰がいくら被災地に足を運ぼうとも、何年経とうとも難しいことでしょう。
私達はせめてそうして必死に生活していらっしゃる方がたくさんいることを、震災の記憶が薄れつつある方々に忘れずにいていただきたい、そう思っております。
今回参加してくださった学生さん達にどのくらい家主さんの想いが伝わったかはわかりません。しかしこうして少しでも多くの方が、一年以上経った今の被災地の現実を知っていただけるといいなと思います。
ところでこの家主さんのパートナーのワンちゃんですが、震災当日車に乗ったままやはり家主さんの目の前を流されていったそうで、車は数十メートル先で見つかったそうです。
ワンちゃんは…数日後家主さんが経営していた山下駅前方面の美容室にひょっこり姿を現したそうです。奇跡。
家主さん「怖がっただろうに、な~んも話してけねからどうしったんだかさっぱりわがんねんだわ、なんも言わねんだ(笑)」
今も二人仲良く暮らしております。
そして先週、先々週で被害に遭ってだいぶ傷んでしまった家主さんの嫁入り道具のタンスなどを綺麗にして部屋に運び入れることができました。
どんなに傷んでしまっても捨てられない、新しいものでは代わりにならない。そういった家主さんの気持ちに少しでも力になりたい。
今活動させていただいている居酒屋源さんV本部の源さんは、自身も被災しているだけに、家主さんの気持ちを最優先したボランティアをしています。私達も依頼が続く限りお手伝いしていけたらと思っております。(米山)